モエレ沼公園を貫くもの

2016.06.23

はじめまして、SIAF2017バンドメンバーの宮井です。普段はモエレ沼公園の学芸員として働いています。来夏のSIAFではモエレ沼公園会場の企画・運営を担当させていただくことになり、大友さんを中心に、モエレ沼公園で来年どのようなプロジェクトを繰り広げるか、絶賛企画中です。前回は公園の中心施設、ガラスのピラミッドが展示会場となり、坂本龍一さん、真鍋大度さん、YCAMの方達に作品を展示していただきましたが、次回は屋外にも作品展示の場を広げていくことになりそうです。

さてさて、次回のプロジェクトをどう展開していくのか、その前提として、まずはモエレ沼公園という場所について紐解いていきたいと思います。

札幌市東区に位置するモエレ沼公園は、すこし風変わりな公園です。188.8haという広大な敷地に、築山(つきやま)と呼ぶにはあまりに巨大な二つの山、有機的なフォルムの池、ガラスのピラミッドやたくさんのカラフルな遊具…といった「彫刻」が配置されています。札幌市民なら一度は聞いたことのある彫刻家イサム・ノグチの名前。この彼の作った最大で最後の彫刻作品がモエレ沼公園です。

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公園が彫刻・・・それっていったいどういうこと?と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。大規模な地球そのものを素材とした作品をノグチが思い描いたのは1933年、彼が29歳の時。その名も「プレイマウンテン」というプランです。NYのマンハッタンに作りたいと考えられたその山は、冬はソリ滑りが出来て、夏はウォーターシュートが出来るというもので、ニューヨークの公園課に持ち込みましたがあっさり却下され、実現にはいたりませんでした。それから半世紀後、どのような運命の繋がりか、83歳ではじめて札幌を訪れたノグチが、この山を含む公園プランを描き、作家が亡くなってからも造成が続けられ、1996年、モエレ沼公園にはプレイマウンテンという名の山が出来ることになります。

ふと湧いたインスピレーションに基づいて、はじめてプレイマウンテンのプランを考案した後、ノグチは生涯をかけて公園や庭園など大地そのものを彫刻とする作品を考え続けていくことになります。人々が古来から追い求めてきたものは何か。世界各地の遺跡を巡り、それを体感しながら自らの作品世界にも反映し、つくりあげていった自らの「彫刻」という概念。そうした中で生まれたいくつものアイディアが、モエレ沼公園には詰め込まれています。

プレイマウンテン ©NAMIKI Hiroo
プレイマウンテン ©NAMIKI Hiroo

さて、今を生きる私たちが追い求めているものは何なのでしょうか。ノグチが考え続けた古くて新しい問いは、もしかして、今回のSIAF2017のテーマ「芸術祭って何だ?」にも繋がっているのかもしれません。そしてこの公園にしっかりと根付いたノグチの視点を、今を生きる作家が浮き彫りにし、さらなる未来へと進めて行く・・・そういうプロジェクトが展開していけたら、と考えています。

話は変わりますが、現在応募受付中の「一緒につくろう芸術祭公募プロジェクト」の審査員も務めさせていただくこととなりました。応募期間は6月30日迄に延長しておりますので迷っている方も十分間に合います。ぜひぜひ、ご応募ください!

「一緒につくろう芸術祭公募プロジェクト」の詳細はこちら
https://www.sapporo-internationalartfestival.jp/koubo/

大友さんのブログも必見です
http://daily.siaf.jp/291/

宮井 和美
宮井 和美
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