ひた走る大友くんの音楽を追い続けて四半世紀!

2016.05.12

SIAF2017 スペシャルビッグバンド(企画チーム)の調律=エグゼクティブアドバイザーの沼山良明です。生業はヤマハのピアノ調律師ですが、1983年からNMA(Now Music Arts)の名称で、主に前衛的な音楽のライブを企画開催しています。来年夏に開催される札幌国際芸術祭を目指して、大友ゲストディレクター(GD)のもと皆さんといっしょに創り上げ、誰もが楽しめる新しい形の芸術祭にしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

芸術祭におけるエグゼクティブアドバイザーという役割は、著名な方が就かれるのが一般的のようですが、なぜ僕が大役を命ぜられたのかと疑問に思われるかも知れません。その辺りはすでに道新、朝日などに寄稿した内容と重複する部分もありますが、ご存じない方々のために大友良英GDと僕との30年あまりにわたる関わりから書こうと思います。その前に今日のブログでは大友GDについて「大友くん」と呼ばせていただく方がしっくりするので、あらかじめお断りしておきます。(笑)

大友良英といえば多くのみなさんは、能年玲奈ちゃんがお茶の間を沸かせた、NHKの朝ドラ「あまちゃん」で音楽を担当した音楽家としてご存知かと思います。その大友くんと僕との出会いは、今から32年前の1984年、前衛ジャズ評論家の故副島輝人さんの企画で、「孤高のギタリスト」といわれた故高柳昌行さんの初の北海道ツアーに、大友くんが助手として同行した時まで遡ります。当時彼は25歳という若さで、僕が主催した札幌でのライブの夜、ホテル代を節約するために、当時一人暮らしだった僕の部屋に彼だけ泊まってもらい、音楽談義に盛り上がったときの真摯な姿が強く印象に残っていました。

それから間もなく「ジャズライフ」誌で、ジョン・ゾーンやクリスチャン・マークレーなど世界最先端の音楽を紹介する彼の連載コラムを読み、度々手紙とともに送ってくれたカセットテープで彼の音楽を聴き、ますますその非凡な才能を予感するようになったのです。

やがて6年が過ぎたある日「ビッグバンドのトラで北海道に行くので、札幌で今の僕の音楽を聴いてくれませんか!」と手紙が届き、90年3月5日札幌初のライブをソロで開きました。客席はなんと顔なじみの10人ほど。まな板にネックを付けて弦を張った奇妙な自作ギターとターンテーブルを、凶暴なまでに駆使した世界最先端のノイズミュージックに圧倒されました。

90年「大友良英ソロ」札幌初ライブのチラシ。インレタとワープロを切り貼りした自作。
90年「大友良英ソロ」札幌初ライブのチラシ。インレタとワープロを切り貼りした自作。
90年「大友良英ソロ」札幌初ライブの写真
90年「大友良英ソロ」札幌初ライブの写真

93年には彼のバンドGROUND ZEROが出演したドイツのメールス・フェスで、アンコールの後も鳴り止まぬ大歓声と拍手の中で、世界へ躍進する姿を目のあたりにして胸が熱くなったことも忘れられません。その後も国内外の先鋭的な即興演奏家たちを共演者として次々と札幌に紹介し、NMAの活動に大きく貢献してくれたり、世界中を駆け回ってつねに刺激的でクリエイティブな音楽を聴かせています。

一方で数々のドラマや映画の音楽、100台ほどのポータブル・レコードプレーヤーによる音響展示作品などで、音楽と美術が交錯する試みと活動は多岐にわたり、特に3.11後の「プロジェクトFUKUSHIMA!」に端を発した活動は、全国規模に拡散しています。札幌でもSIAF2014と昨年の「さっぽろ八月祭」で、大友良英とビッグバンドによる盆踊りが北3条広場で開催され、人々を巻き込む彼の魅力が、SIAF関係者の心を惹きつけたのでしょう。

そんな大友くんにSIAF事務局から2017年のゲストディレクターとしてオファーがあったのは昨年秋のことでした。音楽以外にはめっぽう疎い僕ですが、大友くん曰く、「僕を大友くんと呼ぶ数少ない人」という間柄がご縁で深く関わることになりました。調律ということなので、主に様々なことがスムーズに進むよう潤滑油的なポジションとして貢献したいと思っています。

先へ先へとひた走る大友くんの音楽を追い続けて四半世紀、まさか彼がSIAFのゲストディレクターになる日が来るとは夢にも思いませんでした。酒は一滴も飲めないのに料理だけは余るほど注文する大の打ち上げ好きで、彼の周りにはいつもたくさんの人々が集まりお祭りのようでもあります。

来年の札幌国際芸術祭がどんなお祭りになるのか? 「芸術祭ってなんだ!」をテーマに、みなさんの自由なアイディアを結集して創り上げましょう!

92年「大友良英GROUNG SERO」 チラシ、自作
92年「大友良英GROUNG SERO」 チラシ、自作

最後に、大友くんの若かりし頃1992年の「GROUND ZERO」を3分ほどに編集した動画をお楽しみください。他にもNMAライブの貴重なビデオアーカイブがたくさんありますので、SIAF2017のどこかで公開できるとうれしいなあーなどと思ったりしています。

沼山 良明
沼山 良明
札幌国際芸術祭2017エグゼクティブアドバイザー
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